昔、大好きな友達と同じ会社に就職した。
同期でスタートして、同じ研修を受けて、同じ仕事を覚えていくはずだった。でもその子は1年経っても、私たちができ始めていることがなかなかできなかった。上司に注意される回数が増えて、泣く日が増えて、気づけば休憩のたびに廊下の長椅子にぐったりと横になるようになっていった。
私はその子が大好きだったから、そばにいたかった。また笑顔で話したくて、離れたくなくて、毎日励ました。「大丈夫だよ」「一緒に頑張ろう」って。
でも今思えば、それは自分のためだったかもしれない。重荷を重くしてただけの、自分勝手な押し付け。その子が本当に必要としていたものより、私が見たい笑顔を求めてた。若かった。
その後、その子に好きな人ができた。
そしてある日、突然会社を辞めた。好きな人の後押しで、外国の料理学校へ。
実はその子、料理の腕前が素晴らしかった。私は知ってたけど、それが仕事になるなんて、あの長椅子でぐったりしてた頃には想像もしてなかった。
今、その子は日本で自宅料理教室を開いている。
雷に打たれるみたいに、人生が動いた。
だから今、周りでもがいてる人を見ると、違う目で見るようになった。
好きなことが見つからなくて、自分に何が向いてるかもわからなくて、それでも毎日なんとかしようとしてる人たちや、熱中することを見つけて頑張っている人の、
もがいてる姿って、綺麗だなって、心から思う。
あの子もそうだった。できない日々の中に、ちゃんと次の扉があった。
そしてふと気づく。今の私も、同じだって。
どうしたい?どうなりたい?何になりたい?
この歳になって、また同じ問いの前に立ってる。漠然としたまま、答えが出ないまま、それでも毎日を過ごしてる。
でも今は少し思う。迷いながら進んでる自分も、もがいてる自分も、旅の途中なんだって。
人生、ずっと旅してる。目的地はまだわからないけど、旅してること自体が、私の人生なんだと思う。


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