離婚を決めたころ、毎日が不安だった。
お金のこと、子どものこと、これからの生活のこと。それでも仕事に行けば笑顔を作る。接客の裏側で、どれだけのものを抱えていたか。
でも私には、救いがあった。
話を聴いてくれる人たちがいた。
サロンのお客さん、気の置けない友人たち。隠すのをやめて「実はこういう状況で」と話すと、みんな真剣に聴いてくれた。
月に何度か来てくれるお客さんは、前回の続きを聞いてくれた。
「その後どうなった?」「少し落ち着いた?」そのたびに私は自分の気持ちを言葉にして、また少し前に進めた。
解決したわけじゃなかった。
不安は消えていなかった。状況も変わっていなかった。
それでも、話すたびに、少し楽になった。
答えをもらったわけじゃない。アドバイスでもない。ただ「聴いてもらえた」というだけで、頭の中でグルグルしていたものが、少しほぐれていく。言葉にした瞬間、自分でも気づいていなかった本音が出てくることがある。
あのとき私を支えてくれたのは、その安心感だったんだと思う。
50代って、いろんなものが一気にあふれ出す時期だと私は思っている。誰にも言えないまま、ひとりで抱えている人が、本当に多い。
そういう人の話を、ちゃんと聴ける人間でいたい。そう思うようになったのは、あのころ聴いてもらえた経験があるからだ。


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